個人間融資 国立大~ホームレス~作家 ジャパニーズドリーム(4)

―――それで、『本能寺奇伝』もネットにチラ見せしていたんですよね。
世川:ネットもそうだけど、さっきの編集者の方が読んでくれて、「いい着想だから、最後まで書き上げなさい」って言ってくれた。それで、信長を描いた『本能寺奇伝』を3部作の1作目として、3作を一気に仕上げるんです。

1作目がさっき言った光秀と信長の話ですが、2作目は豊臣政権とは何だったのかを描いた。要は豊臣政権とは、銀をスペインと一緒にどんどん南海に流していって、最後はイギリスに敗れるんです。日本でも銀の価格は最終的に3分の1ぐらいまで下がって滅びていく。その銀という資産と、人という財産を片っ端から南海に流し、朝鮮に流して終わっていった。そんな見立てで『豊臣奇譚』を書いた。

3作目は徳川政権です。銀の時代が終わった後は何だったのか。次は金ですよ。佐渡金山が徳川の命綱だった。それが海外に流出しないためには、取れる手は鎖国しかなかった。だから、3部作は信長で始まって鎖国で終わる。鎖国とは何だったのか。世界地図から日本がなくなった。だから江戸時代というのは1つの「無の時代」ではなかったか、として終わるわけです。

一夜にして出版が決まる

―――壮大な着想ですね。しかも、10年近く前に、ほぼ書き上げていたわけですね。そこから修正してきたんですか。
世川:もちろん、何回も書き替えました。だから10年間を凝縮したような本にしたいと思ったんですね。10年で何回も書き替えて、ネットに何回か流したんです。特に最後の方は、僕のサイトに「備忘録」というコーナーがあり、古くからの読者20~30人に読ませて感想を聞いた。

「もう、ネットだけでいいかな」とも思っていたんです。だって、どこの出版社に行ったって、断られるか、自費出版の話ばっかりですよ。「400万円出せば出版してやる」とか。バカ言ってるんじゃないよ、と。しかも、自分たちは1冊も売らないって言う。それで、「うちの重役が気に入ってる」だと。ぼろ儲けなんだから、そりゃ気に入るだろ。

もう半分、あきらめかけていた時、ネットで彩雲出版という見かけない出版社が目に入った。それで電話してみたら、「じゃあ原稿を送って下さい」って。そしたら翌々日、電話がかかってきて「一晩で読みました」と。「とってもいい本でした。ぜひ、うちから出させて下さい」って。それが彩雲出版の社長だったんです。

―――放浪して思いついたアイデアで一気に書き上げて、それから10年も彷徨いながら磨き上げて、最後は良き理解者に巡り会ったわけですね。
世川:一昨年の秋のことですね。そして昨年、1作目と2作目が出版され、今年の夏には3作目の『慶長挽歌』が出る予定です。本当にありがたい。もう、ネットの世界だけで生きていくつもりだったから。「書籍なんかいいや」と。書籍じゃなくて、僕のサイトを、文学の1つの砦にしたいと思っていました。

でも現実は、僕はもう放浪者じゃないんです。「放浪日記」といっても、パチンコ打ったりマージャンしたことを書きますけど、カネを持っているわけですから、かつてのような放浪の切実さがない。新しいものを作り出していかないと、サイトがもたなくなっていたことも確かです。だから、3作目を出すにあたって、ネット売文業者の端くれとして、新しい試みをしている。

―――何ですか。
世川:新作『慶長挽歌』を細切れにしてネットで連載として出しているんです。「読むに値すると思ったら、購読料を送ってください」って。で、面白いと思って前の連載を読もうとするでしょ。でも、今日アップした分は、明日には消えている。

―――あこぎな(笑)。
世川:まあ、許してやって下さいな。

以上で、「個人間融資 国立大~ホームレス~作家 ジャパニーズドリーム」を終了です!

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