個人間融資 頑張らずニコニコ~脳科学と哲学~(6)

今回の記事は「個人間融資 頑張らずニコニコ~脳科学と哲学~」です。

仕事を抱え込んで身動きが取れなくなる人は、なぜダメなのか?
常に何かに追われるように仕事をし、そうしていなければ安心できない。そんなときに思い起こされるのが「われわれは、自然を強制すべきではなくて、自然に服従すべきである」という古代ギリシャの哲学者エピクロスの言葉だ。

「彼は、幸福になるためには快楽主義であれといいます。彼のいう快楽とはあくまでも官能的快楽ではなく、『肉体において苦しまないことと、魂において混濁しないこと』なのです」(小川准教授)

つまり、体と心の健康が大切ということだ。仕事に追われる日々では、どちらも害しかねない。

「人は流れに身を任せて生きたほうがいいのです。エピクロスも人間は生物的本能に基づき、自然の摂理に従うことが快楽、幸福につながるといいます」(同)

そうはいっても、人間には理性というブレーキがある。

「人の心は理性と感性から成り、理性は論理的な思考・判断に、感性は本能に基づきます。人間は必ずしも理性だけで物事を判断しているわけではなく、感性による判断もありえます」(同)

実は脳科学の世界でも、同様なことが明らかになりつつある。池谷教授によれば、たとえば人が走り出す際には、その意志が芽生える前に、脳が活動を始めている。つまり、脳がまず行動の準備を始め、その後に「走ろう」といった感情が生まれる。池谷教授は、その仕組みを「反射」と表現する。反射は、その場の環境と、本人の知識や過去の経験で事前に脳で決まり、人はその脳という「自動判定装置」に基づいて行動する。

「自動判定装置が正しい反射をするか否かは、本人が過去にどれだけよい経験をしてきたかに依存します。だから私は『よく生きる』ことは『よい経験をする』ことだと考えています」

そう語る池谷教授の「よい経験」とは、仕事でも学問でも自分が真にやりたいことと、そのための努力である。小川准教授も「自分が望んだことなら、すべてがよい経験になり、それによって感性も磨かれて、よりよい人生へとつながっていくでしょう」と話す。

今回の記事はこれで終了です。

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