エアコン「5月から使うが正解」の決定的な理由

去年の“災害レベルの暑さ”を覚えているだろうか。あのうだるような夏本番まで、今年もあと少し。いかに少しでも涼しく、「安全かつ快適」に猛暑を乗り切るか? そのコツの1つとなるのが「エアコンの試運転」だ。暑くなってからで大丈夫だろう、と甘くみていると、のちに痛い目をみることにもなりかねない。正しくは、いつからどんなやり方で試運転をするべきなのか、解決策を探った。
7月頭ごろ、いざ暑さを感じ始めたタイミングで、さあエアコンのスイッチをオン。しかしなぜか冷風が出てこない、なんとなく去年よりも効きが悪い気がする、もしかして壊れてしまったのか……? と焦った経験がある人も多いのでは。こうしたリスクを防ぐため、「まず有効なのが『エアコンの試運転』です」と語るのは、ダイキン工業 サービス本部の水倉忠幸氏だ。

「エアコンに関するお客様からの問い合わせが集中するのは、例年7月です。真夏にもできるだけお待たせしないよう、修理受付窓口の人員を増やしたり修理用部品を準備するなど、ヒト・モノの両面で対応を強化しています。しかしそれでも、ピーク時には問い合わせから対応まで通常よりもお待たせしてしまうのが現状です」と悔しさをにじませる。

とくにエアコンを買い替える場合、扇風機などと違い、設置工事が必要となる。新しいエアコンそのものは用意できても、工事に赴く人手を確保できなければ、実際にエアコンを使える状態が整うまで長い時間を要してしまう。そのため早めにエアコンの試運転を行い、故障や買い替えといった事態にもゆとりをもって備えておくことが重要なのだ。

「試運転をすることで『真夏にエアコン無し』という恐ろしい状態を極力回避していただきたい。また半年ほど使っていない状態から、気温の高い時期にいきなりエアコンを使うと、エアコン本体に大きな負荷がかかってしまうのも問題です。さほど気温の高くない、5月といった早い時期に一度試運転しておくことで、エアコンへの負荷が抑えられ、ひいてはエアコンの寿命を長く保つことにもつながります」(水倉氏)

正しく知っておきたい「試運転」のやり方
では、正しい「試運転のやり方」とは具体的にどんなものだろうか。ダイキンから示されている、正式な方法はこちらの通りだ。

①運転モードを「冷房」にして、温度を最低温度(16~18℃)に設定。
 その後10分程度運転する
②冷風がきちんと出ているか、異常を示すランプが点滅していないか確認する
③さらに30分程度(目安)運転し、室内機から水漏れがないか確認する
④異臭や異音がしないか確認する
なお、ユーザーからシーズン当初に寄せられる問い合わせのうち、「だいたい3割ほどは、お客様自身で解決できる事象です」と水倉氏は語る。例えば、エアコンの電源が入らないと思ったらリモコンの電池切れだった、コンセントから電源が抜けていた、冷房モードにしていなかった、など。

当然、自分で解決すれば、メーカーに修理依頼するより時間もコストも抑えられる。一刻も早くエアコンを復旧させたいユーザーには願ったりかなったりだ。逆に、下記のような状態であれば故障の可能性が高い。販売店やメーカーに連絡するか、または買い替えを検討しよう。

・運転マークが点滅する。
・冷蔵運転をしても、よく冷えない。
・室内機から水漏れしている。
・異臭や異常音がする。

ダイキンは3年前から「スイッチオン!キャンペーン」と銘打って、本格的な夏を迎える前にエアコンの試運転をする重要性を啓発している。とにかくユーザーを待たせる時間を減らし、必要な時期に不都合なく使える環境を整えなければならないという思いからだ。

「冬場にストーブを使う時、一般常識として、一酸化炭素中毒を防止するためにときどき換気をしますよね。それと同様に、夏にエアコンを使うすべての人に、早い時期からの試運転が必要だ!という認識を広めたい。そうした文化を率先して作り出し、世界中のユーザーに安全かつ快適に過ごしてもらうことは、空調専業メーカーとしての責任だと考えています」(水倉氏)

では万が一、暑い盛りにエアコンを使えなくなったら……。いちばんわかりやすい健康リスクが熱中症だ。「災害レベルの猛暑」といわれた昨年、熱中症による救急搬送人員数の累計は95,137人となり(2018年5~9月の累計。総務省消防庁発表)、17年の同時期比で約1.8倍に達した。こうした健康リスクについて、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏はこう語る。

「実は、昨年の夏に熱中症で亡くなった高齢者のうち、6割は室内で倒れたケースでした。しかも、そのうち約半数は夜の発症。熱中症は『炎天下の屋外が危険』『活発に活動する若者がかかりやすい』というイメージが先行しがちですが、必ずしもそうではないのです」

日本の夏は総じて湿度が高く、汗が蒸発しにくいため、体内に熱がこもりがちになる。さらに暑さによって、さまざまな臓器の働きを調節する「自律神経」に疲れがたまり、体温調節機能が低下してしまう。それが熱中症の一因となるというわけだ。

自律神経機能は筋力などと違って、20代から急激に減少するのが特徴の1つだ
また、あまり知られていないが、自律神経機能は加齢に応じてどんどん低下する。早いうちからかなり急激に低下することが判明しており、40代では10代の半分以下、50代ではなんと1/3程度にまで減少してしまう。

「加齢によって暑さ・寒さに弱くなったり、日常生活の中で疲れを感じやすくなるのはこのため。これを補うためにも、とくに中高年以上は、エアコンをはじめとする空調機器をしっかり活用することが重要です」(梶本氏)

ここで重要なのは、快適性や不快感には、温度だけでなく『湿度』も大きく関係しているということだ。梶本氏も「快適な環境で過ごすことで生産性や作業効率が上がり、かつ健康でいられる。いまや、エアコンは非常に重要な生活インフラなのです」と力を込める。

温度だけでなく「湿度」をコントロールするのが大事
室内における適正な湿度は「60%以下」が1つの基準。快適な温度とともに、湿度もコントロールできる高機能エアコンを使うことが望ましい。「普段の生活の中ではとくに、関心を持たれにくい『寝室の空調』を見直してほしいと思います。寝ている間は体感温度に応じた空調の微調整ができないため、空調機器が大きな役割を果たします」(梶本氏)。

高品質なエアコンは、どうしても家族全員が集まるリビングに優先して置かれがち。しかし、湿度までコントロールできるような良質なエアコンは、実は寝室にこそ入れるべきなのである。夜寝るタイミングで心地よい温度・湿度に調整した後は、そのまま朝までつけっぱなしにしておき、体に負担をかけないよう空調し続けるのが理想的だ。

昼間は灼熱地獄、夜はムシムシして寝苦しい……。あと数カ月でやってくるであろう暑さのピークを迎える前に、今のうちからエアコンの試運転をしておこう。上記にのっとって正しい方法で行えば、涼しさも家族の健康も、両方守り抜くことができる。

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